「ナンパ仲間募集掲示板」が全ての始まりだった
私はもうすぐ32歳になる。
初めてナンパをしたのは、今から約12年前。18〜19歳の頃だった。
当時の私は童貞で、コミュ障。経験がない分、「とにかく女の子と遊んでみたい」という願望だけは人一倍強かった。
12年前は、今のようなマッチングアプリなんて存在しない時代。ネットで気軽に出会える環境もなかった。
女の子を紹介してくれる友達も、一人もいない。
そんな私にとって、唯一の出会いの手段がストリートナンパだった。
とはいえ、一人でナンパする勇気なんて当然ない。
まずはネットでナンパ仲間を探すことにした。
当時は、匿名でナンパ仲間を募集できる裏掲示板があり、そこで知り合った一人の男と横浜駅構内で待ち合わせをすることになる。
現れたのは、イケメンの若いハーフ。
だが、見た目とは裏腹に彼もナンパ未経験で、かなり臆病だった。
「ちょっと携帯ショップ行ってくる。」
そう言って、そのまま消えた。
気づけば、横浜駅の人混みの中に一人取り残された。
当時は立っているだけでも緊張で心臓が張り裂けそうだった。

それでも崖から飛び降りるような覚悟で、お姉さんに声をかける。
しかし、声が届かなかったのか、完全にスルー。
心が折れそうになった。
場所を横浜駅西口へ移し、立ち止まっていた女性にもう一度チャレンジする。
すると今度は、ニコッと笑って反応してくれた。
……だが、その時の私はビビっていた。
記念すべき第一声は、
「この辺でおすすめのラーメン屋ってありますか?」
だった。
「ちょっと分からないですね。」
「そうですか。」
それだけ言って、私はそそくさと立ち去った。
それでも、生まれて初めて女の子に声をかけられた達成感は今でも覚えている。
数日後、私は再び掲示板でナンパ仲間を募集した。
今度の待ち合わせ場所は、新宿・歌舞伎町交差点前。
通称「ナンパ通り」。
そこで現れた相手は、なんとスカウトだった。
彼は横浜で会った青年とは違い、完全に女慣れしていた。
スカウトたちをまとめるリーダー的な存在で、現場では彼以外にも複数のスカウトが次々と女の子へ声をかけていた。
どうやら掲示板で探していたのは、ナンパ仲間ではなくスカウト候補だったらしい。
見た目は少し怖かったが、実際はとても面倒見が良く、その夜は歌舞伎町でご飯までご馳走してくれた。
彼らはひたすら通りがかりの女の子に声をかけ続ける。
その姿に刺激を受け、私も何人かに声をかけることができた。
そして――
人生で初めてLINEを交換できた。
今ならLINE交換くらい大したことではない。
でも、当時の私は飛び上がるほど嬉しくて、興奮したのを今でも覚えている。
その日を境に、私はどんどんナンパにのめり込んでいった。
そして20歳の時、クラブナンパと出会う。
洋楽が爆音で流れる薄暗い空間。
私にとっては完全に異世界だった。
気づけばストリートナンパ以上に、その世界へ魅了されていた。
そこからは、クラブ8割、ストリート2割くらいの割合で活動するようになる。

さらに時代が進み、マッチングアプリも使うようになった。
出会いの数は一気に増え、まさにハーレムのような生活だった。
今の若い世代は、私たちの頃とは違う。
わざわざ勇気を振り絞って路上で声をかけなくても、Tinderを開けば簡単に出会える時代だ。
でも、私は思う。
それでは少し味気ない。
女遊びの一番面白い部分は、結果ではなく過程にある。
ストリートで声をかける瞬間のドキドキ。
仲間とワイワイ作戦を立てながら、一緒に挑戦していく時間。
あの過程こそが、一番楽しかった。
私自身、Tinderで初対面の女性とホテルへ行ったことは何度もある。
けれど、どこか物足りなさを感じた。
ゲームで苦労することなく、いきなりラスボスを倒してしまうような感覚だ。
だから私は、クラブや路上でゲーム感覚で女の子と交流し、その過程を楽しむほうが面白いと思っている。
セックスの快感は一瞬。即までの過程を楽しめる人ほど、人生は面白い。